inrevium_cup2_small.png第14回レスキューロボットコンテスト
競技会本選 競技について

ストーリー(競技の舞台設定)

ここは『国際レスキュー工学研究所※』。この研究所では、レスキュー技術の評価と訓練のために、コンテスト形式で実験が行われている。研究所内には、大地震で倒壊した市街地を模擬した1/6スケールの実験フィールドが構築されており、いままさにレスキュー訓練が開始されようとしている。今回の状況設定は次のとおりである。
状況1)瓦礫の中には実験用レスキューダミーが数体設置されている。
状況2)二次災害のおそれがあり、人間が立ち入ることができない。
そこで、遠隔操縦のレスキューロボットの出動だ!ロボットから送られる映像を頼りに、一刻も早くガレキや障害物を取り除き、レスキューダミーを優しく助け出し、安全な場所へ運ぶことが任務である。
※今のところは、架空の研究所です。

概要

競技会場には、大地震都市災害を模擬した1/6スケールの実験フィールド(約9m×9m)があり、多くの組織のロボットレスキュー隊が一つの災害地に入ったことを想定し、2チームが同時に1面の実験フィールドにて救助活動を行います。その中には要救助者を模擬したレスキューダミー(愛称ダミヤン)が配置されています。フィールドの中に坂道や高台なども設けています。ロボットだけでダミヤンを救い出し、安全な場所まで運ばなければなりません。
競技において、最初にプレゼンテーション(2分)を行い、次に作戦会議(2分)を開いて、ヘリテレカメラ(ヘリコプタからの映像を想定した高所からの映像)で撮影するカメラ映像を基に、ダミヤンの救助作戦を立てます。その後、レスキュー活動(10分または12分)を行います。
各チームのロボットは、ロボットベースから出動し、レスキュー活動時間内に3体のダミヤンを連れ帰らなければなりません。オペレータはコントロールルーム内で主にロボットに搭載されたカメラの映像を頼りにロボットを操縦します。ただし、自律型ロボットを使うこともできます。また、競技中に、コントロールルーム間通信装置を使用して、チーム同士で連絡を取ることもできます。 

実験フィールド

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実験フィールドとコントロールルームは隔壁によって隔てられ、キャプテン、オペレータ、コントロールルーム間通信者はコントロールルーム内で活動を行います。
実験フィールド内のブロックは複数のエリアで構成されています。ダミヤンはいずれかのエリアに配置され、チームは指示されたブロック内からダミヤンを発見し、救出を行います。ダミヤンの周囲には複数のエリア内ガレキが配置されていることもあります。ガレキの中には、ダミヤンを覆う倒壊した家屋を模した特殊ガレキもあります。道路上には凹凸のある箇所やロボットがすれ違う場合もあり、ロボットの性能や操縦技能が問われます。

今回の新しい取り組み

  • 新たなレスコンボードであるTPIP3の貸与
    機器貸与チームにはTPIP3を1台、TPIP2を2台の合計3台を貸与しました。
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  • ヘリテレカメラの設置場所変更にともなうチーム操作機能の廃止
    ヘリテレカメラの設置場所を会場の中央天井付近変更し固定します。 この変更により、これまでのようにチームが自由にカメラを操作することはできず、ロボットに搭載されているカメラの重要性がさらに上がります。

チームのメンバー

チームを統括する「キャプテン」、チームのアピールを行う「スピーカー」、ロボットの操縦を行う「オペレータ」、リスタートの際にフィールド上のロボットをロボットベースまで運搬する「ヘルパー」、レスコンボードおよびそれに関連する機器の管理を行う「レスコンボード管理」、相手チームと連絡を取り合う「コントロールルーム間通信者」で構成されます。チームメンバーは、最大10名まで登録できます。

ロボット

ロボットにはカメラが搭載されており、オペレータはフィールドを直接見ずに、主にこのロボットに搭載されたカメラの映像を頼りに無線で遠隔操縦を行います。複数台のロボットは競技開始時にはロボットベースに待機しており、スタートとともに、通路を通って被災区域内の現場に向かいます。競技開始時に全機がロボットベースの枠内に収まることが求められています。しかし、台数、重量などには制限は設けられていません。できるだけ自由な発想を促すという方針です。

レスキューダミー(愛称:ダミヤン)

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要救助者を模擬した身長20〜30cmの人形で、スポンジでできた柔らかい体をしています。圧力センサや加速度センサを内蔵しており、その信号をフィールド外のコンピュータへ電波で送信します。それに基づいて痛みや不快感を計算して画面に表示し、フィジカルポイントを評価します。各チームが救出すべきダミヤンの数は1競技3体です。離れた場所から要救助者を診断することを想定して、各ダミヤンには、体重、音、光、胸のマークが個体情報として設定されています。
第12回の競技会から、ダミヤンが新しくなり、より人間らしい体型になりました。首のセンサが磁気式に変更され、より高精度になりました。
なお、このダミヤンは、日本消防検定協会から第12回レスコンへの特別支援を受けて作成されました。

点数評価

競技ポイント(900点満点)
= ファーストミッション確定ポイント(450点満点)
+ ファイナルミッション確定ポイント(450点満点)

総合ポイント(1500点満点)
= 競技ポイント+ 審査員ポイント(600点満点)

各ミッションの得点は,以下の二つのポイントを足したものです.

  • フィジカルポイント
    ダミヤンの体力を表しています。時間の経過と共に値が徐々に減っていき、ダミヤンに内蔵されたセンサが力や衝撃を検出する度に値がさらに減ります。これらは、ダミヤンごとに評価され、最初の値は100点です。
  • ミッションポイント
    救助作業の達成度を評価します。「救出完了」「搬送完了」および「個体識別」の達成についてそれぞれ所定のポイントが加えられ、満点はダミヤンごとに50点です。個体識別は、ダミヤンの個体情報を識別し、救出完了より前に報告する課題。三つの要素の配点は、「救出完了」20点、「搬送完了」10点、「個体識別」20点となっており、「救出完了」と「個体識別」が重視されています。

画面の見方

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反則

レスキューに反する行為、フィールドやダミヤンの破壊、危険行為などに対しては、審判の判断で反則が採られます。反則は、「イエローフラグ(警告)」「レッドフラグ(退場)」「ブラックフラグ(失格)」の三つに分類されます。これらに対するペナルティは、競技の一時停止、該当ロボットまたは該当者の退場、競技の没収です。

チームの選抜方法

24チームから応募があり、6月29日の神戸予選(20チーム参加)と7月6日の東京予選(4チーム参加)より、主催者枠2チーム,特別協賛枠1チームに加えて、予選競技の評価が高かった8チーム、アイデアに優れた3チーム(チャレンジ枠)の計14チームを本選参加チームとして決定しました。

参加チームについては、こちらをご覧ください。

表彰

優秀な成績を収めたチーム、ロボット、メンバーを様々な賞で表彰しますが、本コンテストで最も意義深いのは「レスキュー工学大賞」です。この賞は、本選の総合ポイントだけではなく、書類やヒアリングも含む総合的な評価で決まります。

  • 主催団体からの授与
    • レスキュー工学大賞(計測自動制御学会賞)
      →レスキューロボットコンテストで最も意義深い賞。
    • inrevium杯
    • ベストパフォーマンス賞
      →最も高い総合ポイントを獲得したチームに与えられる。
    • ベストチームワーク賞(消防防災ロボット技術ネットワーク賞)
      →レスキュー活動の模範となるチームに与えられる。
    • ベストテレオペレーション賞(サンリツオートメイション賞)
      →遠隔操縦技術や遠隔操作システムの優れたチームに与えられる。
    • ベストロボット賞(日本ロボット学会特別賞)
      →移動および救助機構、遠隔操縦システムなどに優れたロボットに与えられる。
    • ベストプレゼンテーション賞
      →チーム戦略などについて、優れたプレゼンテーションを行ったスピーカーに与えられる。
  • 関連団体からの授与
    • 消防庁長官賞
    • 日本消防検定協会理事長賞
    • 第十回竸基弘賞レスキューロボットコンテスト奨励賞((特非)国際レスキューシステム研究機構)
    • 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門一般表彰