競技会本選 競技方法の変更について(2021年8月3日)
競技会本選の開催方法の変更に伴い、全チームリモート参加での実施となります。詳しい競技内容は、当ページの「リモート参加における競技課題について」をご覧ください。


ストーリー(競技の舞台設定)

ここは『国際レスキュー工学研究所※』。この研究所では、レスキュー技術の評価と訓練のために、コンテスト形式で実験が行われている。研究所内には、大地震で半倒壊となったビルや施設内部を模擬した1/4スケールの実験フィールドが構築されており、いままさにレスキュー訓練が開始されようとしている。今回の状況設定は次のとおりである。
※今のところは、架空の研究所です。

状況設定(競技シナリオ)

被災した建物内(病院/高齢者施設/オフィスビル/工場など)で取り残された人をを探して一刻もはやく助け出さなければなりません。そこで、出動要請を受けたレスキューロボット隊が救出に向かいます。ところが大規模停電が発生し視界が悪く,地震再発の恐れもあるため大変危険な状態です。
レスキューロボット隊は、通電・復電火災やガス爆発による二次災害の発生防止対策を行うとともに、現場を調査し、被災状況などを報告する。一方で、通路上にある障害物を撤去し救出経路を確保するとともに、ダミヤンを探索発見し、居場所や容体を報告します。そして、必要に応じてショアリングやクリビングなどにより什器や瓦礫などの安定化を図り、ダミヤンをはやく、やさしく救出し安全な場所まで搬送します。

競技ミッション

競技会場には、大地震で半倒壊となったビルや施設、工場などの半倒壊建屋を模擬した1/4スケールの競技フィールド(約9m×5.5m)が用意されています。フィールド内には、行方不明者として要救助者を模したレスキューダミー(愛称:ダミヤン)が数体配置されています。
建物の間取りはあらかじめ把握することができ、要救助者の捜索対象は3部屋であることがわかっている。チームは,指定されたスタートゲートからロボットを投入し,制限時間内に以下の3つのミッションを行います。

・作業ミッション
救出搬送経路を確保するために通路にある障害物を撤去します。
・調査報告ミッション
建物内の被災状況を報告します。
・救出ミッション
競技フィールド内に数体置かれているダミヤンを探索発見し,部屋から救出した後、安全な場所(救出エリア)まで搬送します。また、ダミヤンの容体を判定するとともに、飲料水などの支援物資を提供します。

競技において、最初にプレゼンテーション(2分30秒)を行い、次に作戦会議(3分)を開いて、室内カメラ(防犯カメラを模擬した室内カメラ)で撮影するカメラ映像を基に、ダミヤンの救助作戦を立てます。その後、レスキュー活動(ファースト・セカンド10分。ファイナル12分)を行います。
各チームのロボットは、スタートエリアから出動し、レスキュー活動時間内に数体のダミヤンを救出し、救出エリアへ搬送しなければなりません。オペレータはコントロールルーム内でロボットに搭載されたカメラの映像だけを頼りにロボットを操縦します。ただし、自律型ロボットを使うこともできます。 

20×21大会における変更点

  • 競技フィールドの一新
  • 競技ミッションの変更
    →作業ミッション、調査報告ミッション、救出ミッションの3ミッションへ変更
  • ロボット操作方法の変更
    →無線LAN接続に加え、有線による接続が可能となった。1 台のロボットが、無線通信と有線通信の2つを同時に利用することもできる

新競技フィールド等 説明動画

新競技フィールドおよび競技ミッションの説明動画になります。

競技フィールド

競技フィールドは、テストフィールド、コントロールルームで構成されている。 テストフィールドは、被災した倒壊建屋内を模擬しており、コントロールルームは被災していない安全な場所と想定している。 テストフィールドおよびスタートエリアとコントロールルームが離れた場所であることを模擬するために、隔壁で区分けし、直接情報収集ができない状況を作り出しており、キャプテン、オペレータ、エンジニア、通信デバイス管理者はコントロールルーム内で活動を行います。
テストフィールドは、フィールドと外部フィールドに区分される。

フィールド

フィールドは以下の3エリアで構成されます。

・ルーム
→フィールド内の探索を必要とする場所。ルーム内には、「被災状況報告」ミッション用の報告対象が配置されている。ルーム内部は、閉鎖空間となっている場合がある。内部に照明がない場合がある。ルーム内の1区画を「ブロック」とよぶ。ブロック内には、レスキューダミーや障害物等が存在する。
・共通(通路)エリア
→ルームをつなぐ通路・階段のこと。階段がスロープに変更される場合がある。障害物等存在する。
・救出(屋外)エリア
→救出したレスキューダミーを搬送する先の屋外という設定である。救出エリアにレスキューダミーを搬送した場合のみ「搬送完了」となる。救出エリアの出入り口には、ドアが設けられている。

外部フィールド

外部フィールドは、被災した倒壊建屋への侵入口付近を再現している。外部フィールドは、以下の2エリアで構成される。

・スタートエリア
→ロボットおよびその付属品が配置される1,800mm×900mmの区画。 フィールドへ出るためのスタートゲートがあり、道路上面からの高さが600mmであり、幅は700mmである。すべてのロボットはスタートゲートの下を通り出動しなければならない。
・ヘルパーエリア
→競技中にテストフィールド側でヘルパーが待機する場所。コントロールルームからは隔離された位置に設定する。

チームメンバー

競技会において、フィールド裏手、チーム控え室および競技会場等出入りを制限される場所に入ることができる。競技開始前および終了後、ロボット等を運搬するために競技会場に入場 することができる。
なお、チームメンバーは、7 名を上限とする。

競技メンバー

競技会において、コントロールルームに入り競技を行うことができるメンバー。
競技メンバーは、チームメンバーの中から登録し、7名を上限とする。
ミッションメンバーはそれぞれ以下に示す担当を務める。
(一部は兼務可能)

・キャプテン
→チームの指揮を執り、チームを総括する。リスタートの要請を行う。
・スピーカー
→ロボットおよび戦術のプレゼンテーションを行う。
・オペレータ
→ロボットの操縦、操縦の補佐、コントロールルーム内のロボットの整備を行う。競技中は、オペレータのみロボットを操縦することが出来る。2 名を上限とする。
・エンジニア
→ロボット操縦の補佐、コントロールルーム内のロボットの整備を行う。競技中にロボットのコントローラに触れることは認められない。
・通信デバイス管理者
→ロボット通信システムおよびそれに関連する機器の管理を行う。
・ヘルパー
→競技中に主にテストフィールド で ロボットの運搬、整備等を行う。また、 リスタート時など 審判の指示を受けた際に、フィールドに侵入しロボットを回収する。

ロボット

ロボットにはカメラが搭載されており、オペレータは競技フィールドを直接見ずに、カメラの映像や様々なセンサ情報だけを頼りに無線および有線で遠隔操縦を行います。しかし、台数、重量などには制限は設けられていませんが、オペレータは2名までに制限されています。

レスキューダミー(愛称:ダミヤン)


要救助者を模擬した身長20~30cmの人形で、内蔵された各種センサにより、ボディへの余分な力や手荒な扱いを検知し、それらの信号は競技フィールド外のコンピュータヘ無線で送信されます。それらの信号に基づいて痛みなどのダメージを計算してダミヤンインジケーター画面に表示します.また,離れた場所から要救助者の容体を判定することを想定して、各ダミヤンには「顔の色(頭部の一部の発色」「音声(周波数)」「鳴動パターン」「二次元コード(QRコード)」の4つの識別因子が設定されており、それらの情報から「歩行」「負傷」「呼吸」「脈動」「意識」の5つについて容体判定を行います。

点数評価

ポイントの内訳は以下のとおりである。

競技ポイント(1200点満点)
= ファーストステージ確定ポイント(600点満点)+ ファイナルステージ確定ポイント(600点満点)
総合ポイント(1800点満点)
= 競技ポイント+ 審査員ポイント(600点満点)

また、各ステージごとの確定ポイント(600点満点)は,救出中の各ダミヤンに対するダメージ(フィジカルポイント)と各ミッション作業の達成度を評価する(ミッションポイント)を総合した点数で評価されます。ダメージはダミヤンに内蔵されたセンサで判断します。また、ミッションポイントは「作業ミッション」「調査報告ミッション」「救出ミッション」の3つのミッションの達成度でポイントが発生します。各ポイントの詳細を以下に記します。

フィジカルポイント (100点満点/ダミー)

ダミヤンの体力を表しています。時間の経過と共に値が徐々に減っていき、ダミヤンに内蔵されたセンサが力や衝撃を検出する度に値がさらに減ります。これらは、ダミヤンごとに評価され、最初の値は100点です。
「支援物資提供タスク」によるヒーリングインデックスによりフィジカルポイントの回復が行われた場合であっても、フィジカルポイントの最大値が100点を超えることはありません。

ミッションポイント(300点満点)

ミッションポイントの内訳は以下のようになっています。

「作業ミッション」(60点満点)
・障害物除去タスク(30点/障害物)
→現場へ到着するため、またダミヤンの安全な搬送ルートを確保するために通路の障害物を指定された場所に撤去することで与えられる。
「調査報告ミッション」(90点満点)
・現場到着タスク(10点/ルーム)
→調査対象の現場(ルーム内)に、ロボットが到着することで与えられる。
・被災状況報告タスク(20点/ルーム)
→現場(ルーム内)のダミヤンの存在有無や二次災害の発生原因となりえる「ストーブ」や「電気スタンド」等の存在有無を報告する。正しく識別することで与えられる。本タスクでレスキューダミーを発見したと報告した場合、救出ミッションが発生する。
「救出ミッション」(150点満点)
・支援物資提供タスク(10点/ダミー)
→救出を指示されたダミヤンに対して、指定された範囲(ブロック)に支援物資を正立状態で提供することで与えられる。
・容体判定タスク(20点/ダミー)
→容体判定の正解数に応じて与えられる。判定は「QRコード」「目の色」「鳴動パターン」「音」の4つの因子を識別したうえで、下の表の5つの項目に関してダミヤンの容体判定を行う。なお、容体判定ポイントの内訳は、各項目を正しく識別することで項目毎に4点が与えらる。
・救出(10点/ダミー)
→ダミヤンをルーム内より救出することで与えられる
・搬送(10点/ダミー)
→ダミヤンを救出(屋外)エリアまで搬送することで与えられる。

画面の見方

反則

レスキューに反する行為、フィールドやダミヤンの破壊、危険行為などに対しては、審判の判断で反則が採られます。

反則の概要

A. 反則の種類
反則は「イエローフラグ(警告)」「レッドフラグ(退場)」「ブラックフラグ(失格)」の3 種類がある。
B. 反則の宣告
反則の宣告は、該当するロボット・チームメンバー・チームに対してその色のフラグを提示し、主審が宣告することにより行う。また、宣告時にその具体的内容を簡潔に説明する。
C. 反則の判断と決定
反則であるかどうかの判断は副審もしくは主審が行い、主審がこれを決定する。主審の決定に従い、主審もしくは副審が反則を提示する。
D.反則内容の確認
競技後に、キャプテンは自チームが宣告を受けた反則に対して、主審にその具体的内容の説明を求めることができる。

フラグの種類

イエローフラグ(警告)
A. 審判が望ましくないと判断した行為に与えられる。
B. ロボット 1 機ごとに与えられる。
C. 同一のロボットに対し、1 回のレスキュー活動において2 回イエローフラグが与えられた場合レッドフラグとなる。
レッドフラグ(退場)
A. 極めて危険な行為、コンテストのフィロソフィーおよび開催趣旨に反する明確な、あるいは、 意図的な行為に与えられる。
B. ロボット 1 機ごとに与えられる。
C. レッドフラグが与えられたロボットは退場扱いとなりその競技に復帰することはできない。
ブラックフラグ(失格)
ブラックフラグが宣告されると、その時点でチームは失格となり競技を中止しなければならない。 競技中にチームメンバーやチーム全体がコンテストのフィロソフィーおよび開催趣旨に関する重大な違反をしている場合に与えられる。
A. チームに対して与えられる。
B. 自チームの競技時以外の違反行為でも、与えられる。

表彰

優秀な成績を収めたチーム、ロボット、メンバーを様々な賞で表彰しますが、本コンテストで最も意義深い のは「レスキュー工学大賞」です。この賞は、本選の総合ポイントだけではなく、書類やヒアリングも含む総合的な評価で決まります。

主催団体からの授与
・レスキュー工学大賞
→レスキューロボットコンテストで最も意義深い賞。詳しくは「こちら」をご覧ください。
・ベストパフォーマンス賞
→競技ポイントと審査員ポイントの合計である総合ポイントがもっとも高いチームに与えられる。
・ベストプレゼンテーション賞
→レスキューロボットコンテストの観点からチーム戦略などについて最も優れたプレゼンテーションを行った個人に与えられる。
・ベストチームワーク賞
→レスキュー隊の観点から、現場で必要となる連携作業に対して、チームやロボットの代替具合を評価する。
・ベストロボット賞(日本ロボット学会特別賞)
ロボット工学的な観点から,移動および救出機構、遠隔操縦システムなどに優れたロボットに与えられる。
・ベストテレオペレーション賞(サンリツオートメイション賞)
→遠隔操縦技術や遠隔操作システムの優れたチームに与えられる。。
関連団体からの授与
・inrevium杯
→ゴールドスポンサー(冠スポンサー)の東京エレクトロンデバイス株式会社より、最高賞であるレスキュー工学大賞受賞チームに贈呈される。
・消防庁長官賞
→救助活動において、要救助者の負担を軽減するための先進的な科学技術を導入するという観点から選定される。
・日本消防検定協会理事長賞
→人々の安全、安心を支える防火安全技術の観点からすぐれたロボット技術により迅速なレスキュー活動を遂行したチームに送られる。
・計測自動制御学会特別賞
→レスキュー工学大賞の受賞チームに送られる。
・日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門一般表彰
→ベストパフォーマンス賞の受賞チームに送られる。
・第十七回竸基弘賞レスキューロボットコンテスト奨励賞((特非)国際レスキューシステム研究機構)

競技説明 動画

第19回の競技会本選で使用された競技説明の動画となります。なお、20×21大会では第19回大会までの内容から大きく変更が生じています。

リモート参加における競技課題について

20×21大会では、新型コロナウイルス感染症の拡大状況とそれによるチーム事情の観点から、会場での競技会参加を行えないチームを対象としてリモート参加を可としています。リモート参加では、競技会と同等のチームプレゼンテーションおよび競技会のレスキュー活動に代わる競技課題(事前撮影動画)の発表、および質疑応答を行ってもらいます。なお、リモート参加による発表も一部の賞の対象となります。詳しくは、「規定(ルール)」のページ内の「[別添]リモート参加における競技課題説明」を参照ください。

発表方法

発表はZoom を用いてリアルタイムにて実施します。

発表内容

発表内容はプレゼンテーション2 分30 秒、課題動画4 分30 秒、質疑3 分です。

プレゼンテーション
会場での競技会と同等のチームプレゼンテーションを行ってください。
課題動画
下記【競技課題】に示す課題の実施動画(事前撮影したもの)を再生してください。
・ロボットの操作は、すべて遠隔操縦によるものとします
・基本性能として、「基本走行試験」「障害走破試験」「階段走破試験」
・障害物撤去性能として、「障害物撤去試験」
・調査/容体判定性能として、「調査/容体判定性能試験」
・救出性能として、「救出性能試験」
・その他アピールしたい要素